第46章 憎しみの芽【アズカバンの囚人編】
「お待たせ。これ、ドラコに渡して。間違っても、ドラコの親に渡しちゃダメだから」
ホォ、とひと鳴きして、ドラコのフクロウは手紙を加えて夜の空へ飛び立っていった。わかっていればいいんだけどと、ミラは少し心配になりながらフクロウが暗い夜の空に消えるまで見守った。もし手紙があのルシウス・マルフォイに見つかれば、ドラコは怒られるかもしれない----本屋での出来事で、ルシウスはきっとミラに対していい印象をもっていないだろうと確信していた。
それから数日後、ハーマイオニーとハグリッドから届いた。
ハーマイオニーの手紙は、姿を見かけないと思っていたノクチュアが小包と一緒に届けてくれた。ハーマイオニーがフクロウをもっていないことを知っていてなのか、帰ってきたノクチュアをミラはよくやったと褒めた。
ハーマイオニーもフランスへ休暇へ行くようで、今度ロンドンで会えるのを楽しみにしていると書かれていた。プレゼントは『ふくろう通信』で購入したことが書かれていて、定期購入している『日刊預言者新聞』の広告で見つけたらしい。
ミラは手紙を読み終えると、小包を開けた。おしゃれな缶が大小一つずつと、ボトルが一本入っていた。手に取って見てみると、ボトルには入浴後の髪に使うとどんな髪の毛も潤う液体と、大きな缶にはどんな荒れた肌もすぐに治るクリーム、そして掌に転がせるほど小さな缶は、薄いピンク色のリップクリームが詰まっていた。ほんのり甘い匂いはする…。
早速大きな缶に入っていた缶のクリームを、荒れた手に馴染ませた。最初はベトベトした感触がしたが、時間が経つとそれも気にならないほどサラッとしていた。きっと孤児院で大変な思いをしていると思ったハーマイオニーが気を効かしてくれたに違いない。
「ありがとう、ハーマイオニー」
他の二つはすぐには活躍しないだろうが、荒れた手を直してくれるクリームはこの夏大活躍しそうだ。