第46章 憎しみの芽【アズカバンの囚人編】
ミラは本を手に取ってタイトルを見た。『バカにもわかる淑女になれる本』と無駄に装飾のいい本に、ミラは口を引き攣らせた。ミラは一度大きく息を吸い込んで吐いた。
----ドラコから手紙とプレゼントが届いただけ、すごいことなのだ。これは彼なりのジョークだろう。と、ミラは怒りをなんとか沈めた。しかし、一体どこでこんな本を見つけたのだろうとミラは思った。
手紙を読み終わる頃、ドラコのワシミミズクがまた鳴き出した。まるで、早く手紙を寄越せと言っているようだ。
「手紙は今書くから、そんな騒がないで。ほら、煩いとめんどくさい事になるから、そこの木で待ってて」
と、ミラは木を指さすと、ワシミミズクはまたしても信じられないと言った顔をしてから、渋々と木へ飛び移った。ノクチュアの姿はなく、またハリーのヘドウィグとその辺で遊びに行っているようだった。
「太々しさはドラコそっくりだな」
ため息をこぼすと、ミラは急いで手紙と便箋を取り出した。疲れていたが、外で待たせているフクロウに騒がれては、またミス・メアリーに何を言われるかわかったもんじゃない。それに、ヒルダがどこで聞き耳を立てているか----ホグワーツなら呪いの一つや二つかけてやれたというのに、夏休みの間は魔法が使えないことが本当に不便だと感じた。
ドラコへ
手紙ありがとう。まさか、本当にくれるなんて思ってもいなかった。本も気が向いたら読むようにする(こんなジョークの効いた本をもらうなんて初めて)。よくわからない紙も何に役立つかわからないけど、ありがたくもらっておくよ。
ドラコの誕生日も、今度いつなのか教えて。
それとあなたのフクロウ、あなたにそっくりなくらい太々しい。餌をあげたのに、ゴミを見るような目をしていた。いいもの食べすぎて、きっとその内太りすぎて飛べなくなるんじゃない?
ミラは思い付くままに手紙を書いた。まだ夏休みも数日も経っていないのに孤児院の生活に嫌気がさしていることや、魔法が使えなくてつまらないなど、早く夏休みなんか終わってほしいと書いていた。あっという間に手紙三枚を書き終えると、ミラは窓に近付いた。
すると、ワシミミズクがスゥッと窓まで飛んできた。