第46章 憎しみの芽【アズカバンの囚人編】

　ミラは何となく、この小包の送り主が誰かわかり始めていた。小包の紙を開けると、一冊の本と手紙が入っていた。手紙を手に取って名前を確認すると、やっぱり送り主にはしっかりとドラコ・マルフォイと書かれていた。

「ほら、やっぱり」

　きっとこのワシミミズクも、普通のフクロウよりいい物をもらっているに違いないとミラは思った。

　それでも、まさか本当に手紙をもらえるなんて、ミラは夢にも思わなかった。きっとドラコなら、あの紙を破って捨てたに違いないと思っていたのだ。－－－－ドラコなら絶対送ってくれるとドラコ本人にも言ったが、半分賭けでもあった。ミラは自然と微笑んでその手紙を開けた。



　グローヴァーへ

　もう少し前もって伝えることができないのか、お前は。おかげで夏休みの初日から手紙を書かされている僕の身にもなってみろ。こんなことは初めてだ。

　と、文句が綴られた文から始まっており、ミラはクスッと笑ってしまった。
　それから今年の夏は家族で旅行することや、別荘があちこちにあり、その中でも一番豪華な別荘に今回は行くのだと長ったらしい自慢はなしが書かれていたので、ミラはサッと流し読みした。


　面白い物をお前に一枚やる。どう使うかはお前次第だが、絶対にお前は僕に感謝するだろう。


　一体何だろうと、ミラは手紙の最後にあった紙を見た。その紙には何も書かれておらず、訳もわからず手紙に視線を戻した。


　マグルを騙せるものだ。必要な紙にそれを被せろ。マグルには僕たち魔法使いにしか理解できないものを伏せてくれる。これでお前と一緒にいる孤児院のマグルを出し抜いてやれ。

　もう一つは、お前に足りないものだ。お前に理解できるといいといいが。

ドラコより