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【HP】怪鳥の子

第44章 死の覚悟


「一思いに殺してあげよう。ここに来るであろうハリー・ポッターが、君の死体を見てどう思うかな」
「----それは、違う」

 ミラは何とか上体を持ち上げ、座り込みながらトムを見上げた。

「今夜死ぬのは一人だけだ----壁には一人の死しか書いてなかった----この『秘密の部屋』で白骨で横たわるのは、ジニーじゃない----私だ----トム、アンタに必要なのは一人分の魂だ。二人分もいらないなら、余った余分な魂は捨てるしかない」
「その根拠はどこから来るんだ?」
「今ここで、私を殺すこと----二人分必要なら、私をまた操って日記に書き込ませればいい----私が死んでも、困らないってことさ」

 ミラはジッとトムを見つめると、無表情だったトムの口元がほんの少し釣り上がった。

「あの小娘の代わりに、自分の魂を差し出すのか?」
「目をかけてくれてたんだろ?だったら、ジニーより私の方がいい----ムカつくけど、孤児院のことで理解してくれたのは、アンタが初めてだった…」

 トムは顎に手を添えて、少し考えるそぶりをした。しかし、時間はそうかからなかった。

「いいだろう。最後の望みくらい聞いてやろう。あのハリー・ポッターの幼馴染に免じて」
「…それ、関係あるの?」
「僕には重要なことだ」

 ハリーの幼馴染が、何故トムにとって重要なのか、ミラには理解できなかった。が、これでジニーが助かる確率が上がるなら、ミラは喜んで命を捧げられると思った。

「…ジニーから、『継承者』の記憶は消して。『継承者』は私一人でいい」
「ああ、いいだろう」

 機嫌がいいのか、トムはあっさり承諾してくれた。
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