第44章 死の覚悟
まだジニーを地上へ返してくれるか怪しいが、トムはハリーがここへ来ると確信しているようだった。ミラは賭けることにした。ハリーがここへ来ることは望まなかったが、ハリーなら、きっとジニーを助けてくれる。
ジニーに、こんな暗くて冷たい場所は似合わない。地上に戻れば温かい家族、両親や兄弟がいる。それに引き換え、自分は両親もいない。悲しむ人間は、ジニーより少なくて済む。
『貴方は自分が思っているより、周りから想われているのですよ』
それは、去年マクゴナガル先生の言葉が頭にふと浮かんだ。怪我をして痛かったのは自分のはずなのに、まるで自分が大怪我を負ったかのように、マクゴナガル先生は悲しい顔をしていた。
(そういえば…先生にまだ謝ってなかったな…)
ごめん、先生と、ミラは思った。結局マクゴナガル先生に言われたことを、何一つ理解できないままだった。心配や失望ばかりさせてしまったと、ミラに後悔が生まれた。しかし、ジニーの身代わりになることに、一つも後悔はしていない。
ミラはフラつく体をなんとか立たせると、『日記』が落ちている場所まで向かった。