第43章 秘密の部屋へ
「僕たち----僕たち----」
「これは、その----」
「僕たち----あのー、様子を見に----」
「ハーマイオニーの」
ハリーがハーマイオニーの名前を出すと、ミラとロンはハリーを見た。マクゴナガル先生もハリーを見つめていた。ハリーは一歩二人の前から踏み出した。
「先生、もうずいぶん長いことハーマイオニーに会っていません。だから、僕たち、こっそり医務室に忍び込んで、それで、ハーマイオニーにマンドレイクがもうすぐ採れるから、だから、あの、心配しないようにって、そう言おうと思ったんです。それに、ミラは強がってますけど、本当はすごく落ち込んでて…声をかけに行ったら、少しは元気が出るかなって思ったんです。」
マクゴナガル先生は、ハリーから目を離さなかった。ミラはまさか自分の名前が出るとは思わず、マクゴナガル先生と目が合わないよう、顔を真下に向けた。さらに、緊張で手に汗をかいていた。そう長くもない沈黙が、もう一時間以上も続いているような感覚を感じていた時だった。
「そうでしょうとも」
と、マクゴナガル先生の声は奇妙に掠れていた。ミラは慌ててマクゴナガル先生を見ると、ビーズのような目に、涙がキラリと光っていた。
「そうでしょうとも。襲われた人たちの友達が、一番辛い思いをしてきたことでしょう----よくわかりました。ポッター、もちろん、いいですとも。ミス・グレンジャーのお見舞いを許可します。ビンズ先生には、私から貴方たちの遅れることをお知らせしておきましょう。マダム・ポンフリーには、私から許可が出たと言いなさい」
三人は、罰則が与えられなかったことが、半信半疑のままその場を立ち去さろうとした時、マクゴナガル先生がミラを呼び止めた。
「ミス・ミラ、貴方はマダム・ポンフリーに診てもらいなさい。顔色が良くないようですから」
ミラはギクリと肩を揺らしたが、小さな声で「はい」と言って、ハリーとロンを追いかけた。