第43章 秘密の部屋へ
二人に追いついて角を曲がった時、マクゴナガル先生が鼻をかむ音がはっきりと聞こえ、ミラは罪悪感を感じた。
「あれは、君の作り話の中でも最高傑作だったぜ」
と、ロンが熱を込めて行った時、ミラはロンを小突いた。
「少しは先生に悪いと思わないのか?」
「ごめん、ミラ。まさか先生があんなことになるなんて、僕、思いもしなくて」
ロンの代わりに、ハリーがミラに申し訳なさそうに謝った。
「もうあんな嘘、先生に付かないでほしい」
「そうだね…今回だけにするよ」
三人は三階のトイレには向かわず、医務室へ足を運んだ。マダム・ポンフリーは、三人を渋々といった様子で中に入れてくれた。ハーマイオニーは石になったあの日から、何も変わってはいなかった。ミラはそばまで駆け寄り、何かを持っていたであろう手に触れた。そこには温もりはなく、冷たくて硬い石なのだと、ミラは無念にも思う気持ちでいた。
「マダム・ポンフリーに診てもらわなくていいの?」
と、ハリーが心配そうにミラの顔を覗き込んできた。ミラは首を横に振った。
「大丈夫、我慢できないほどじゃない」
そんな事よりも、ハーマイオニーを石にした『継承者』を突き止めたい気持ちが大きかった。
「ハーマイオニーは、自分を襲った奴の顔を本当に見たと思うかい?」
と、ロンがハーマイオニーの硬直した顔を、悲しげに見ながら言った。
「…わからない。怪物か誰かに一瞬で石にされたのかもしれないし…何で、あの時一緒に行かなかったんだろ…」
「『継承者』も運が悪いな、君に目をつけられた事を後悔してるはずさ」
「ロン…」
「ほら、君って僕たちの中でも好戦的だし、喧嘩も一番強い。僕なら逃げた方がいいって思う」
「逃げられたら困るよ、ロン。とっちめてアズカバンっていう豚箱に放り込んでやらないと、私の気が済まない」
ミラは力なくロンに微笑むと、ロンも頷いてくれた。