第43章 秘密の部屋へ
「つまり、私たち、先生というものは、いろいろやらなければならないことがありましてね。生徒を送って授業に連れて行ったり、一晩中見張りに立ったりしなくたって手一杯なのにですよ」
「先生も大変なんですね」
「ええ、そうなんです、ミス・グローヴァー」
ロックハート先生はニコッとミラ微笑みかけ、ミラはぎこちないながらも、なんとか笑顔を作りあげた。
「先生、引率はここまでにしてはいかがですか。あと一つだけ廊下を渡ればいいんですから」
「実はウィーズリー君、私もそうしようかと思っていたところで----戻って、次の授業の準備をしないといけないんでね」
と、ロックハート先生が言うや否や、足早に行ってしまった。
「授業の準備か。髪の毛をカールしに、どうせそんなとこだ」
と、ロンが呆れて言った。
「ああいう大人には何たくないね」
と、ミラも呆れた顔で、去っていくロックハート先生の背中を見ていた。
三人はグリフィンドール生を先に行かせると、一番後ろになった瞬間に脇の通路に駆け込んだ。そのまま『嘆きのマートル』がいるトイレへ急いだ。
「ハリーがあのロックハートに『その通りです』って言った時、私びっくりしたよ」
「ああ、あれにも僕も驚いたぜ」
「あの人じゃなかったら上手く行かなかったよ」
「ハリーも中々の悪だね」
三人で計略が上手くいったことを讃えあっていたその時----。
「ポッター!ウィーズリー!グローヴァー!何をしているのですか?」
マクゴナガル先生が、これ以上固くは結べないだろうと思えるほど固く唇を真一文字に結んで立っていた。ミラはスッと身体中の血が引くのを感じた。