第43章 秘密の部屋へ
「こんな時でさえ学校を閉鎖しないのは、みなさんが教育を受けるためです。ですから、試験はいつものように行います。皆さん、しっかり復習していることと思いますが」
みんながショックを受けている間、ミラは特に驚くこともなく、静かに話しを聞いていた。
しかし、ハリーとロンは違った。試験があるとは全く思っていなかったのか、「最悪だ」と言わんばかりに困っていた。頼りのハーマイオニーは石のままであり、ロンに至っては杖が時々口笛を吹くような大きな音を立て出したりした。ミラも教えるのは得意な方ではなかったが、困っている二人を放っておくことはできなかった。
「忘れてたよ、君が学年十位以内の成績だってこと」
「そりゃ、学年トップのハーマイオニーといたら、私のことなんて霞むよ」
ジットリと、ミラはロンを睨んだ。
「私はハーマイオニーほど教えるのには向いてないけど、要点さえ掴めばあとはなんとかなる」
「なんとかなるって、その要点がわからないんだ」
「…」
ミラは頭を抱えたくなりながらも、今年受けた授業をまとめたノートを取り出して厳しい顔で読み始めた。きっとハーマイオニーなら、みんなにあった勉強法や教え方もわかるんだろうなと思った。去年のテストも、なんやかんやハーマイオニーに頼りきりだった。ハリーやロンほど質問した回数は少ないが、それでも誰の質問にも答えることができるハーマイオニーはやっぱり天才なのだ。
「とりあえず、得意な科目からやっていこうよ。やってる途中で、授業の内容とか思い出すかもしれない」
と、ハリーはミラに助け舟を出した。
テスト勉強のせいで、いつ『嘆きのマートル』がいるトイレに行くべきかと、三人は考えあぐねていたが、それもすぐに頭の片隅に追いやられた。ミラは要点をまとめたノートと教科書を何回も見比べ、二人の勉強をみることに必死だった。
特に『闇の魔術に対する防衛術』のテスト勉強は、ミラを最高に不機嫌にさせた。
「こんなのを覚えなきゃいけないなんて、屈辱以外に何があるっていうんだ…」
「わかるよ、ミラ。でも、耐えるんだ」
「もし答案用紙に、『私の一番好きな色はなんでしょう?』なんてあってみろ。燃やしたくなるかもしれない」
「いっそアイツのテストは全部燃やすべきだ」