第43章 秘密の部屋へ
次の日、ハリーとロン以外の男子生徒が部屋を出払っているときに、ミラを部屋にこっそり招き入れた。昨夜の話を始めると、案の定ロンは不満が爆発したように全てを教えてくれた。
「僕たちは昨日、死にかけた!ハグリッドが帰ってきたら、一発殴らないと僕の気は済まないよ!」
ハグリッドのヒントを元に蜘蛛の跡追いかけたら、禁じられた森の奥に『アラゴク』というアクロマンチュラの大蜘蛛がいるという。それはハグリッドが学生時代に飼っていたペットで、五十年前に開かれた『秘密の部屋』の怪物の疑いをかけられたせいで、ハグリッドが退学することになったことがわかった。
「じゃあ、ハグリッドは無実だったことはわかったんだ」
「うん。だけどアラゴクは秘密の部屋にいる怪物のことは教えてくれなかった----口にできないほど忌み嫌ってる様子だった」
「一体どんな怪物が…」
ミラは頭の中で想像してみるも、巨大な毛むくじゃらな蜘蛛より、それ以上想像できなかった。
「でも、おじさんの車のおかげで二人が助かってよかったよ。あーあ、私も行きたかったなぁ」
「話し聞いてた?僕たち、殺されかけたんだ!」
と、ロンが憤慨したように声を荒げた。
「君はわかってない!あの化け物蜘蛛の家族に囲まれて、生きて帰れる方が奇跡だったんだ!」
「それはロンが特に蜘蛛が苦手なだけで、余計に怖いと思ったからさ!」
「じゃあ今度君一人で行けよ!僕たちがどんな怖い目に遭ったかわかるはずさ!」
「ああ、いいとも!お土産に大蜘蛛の足をアンタの枕元に置いといてやるよ!抱き枕がわりになるかもな!」
「二人とも、静かにして」
収まりそうにないミラとロンの口喧嘩に、ハリーは割って入った。アラゴクに会ってわかったことは、ハグリッドが無実であることのみで、怪物の正体も、どんな方法で石になるのかも、結局皆目検討もつかなかったのだから。
「喧嘩なんかしてる場合じゃないよ。『継承者』を捕まえない限り、マグル生まれの生徒はこれからも石にされ続ける----ハーマイオニーだって、石から治っても、また襲われるかもしれない…」
「ハリー…ごめん、そうだった」