第43章 秘密の部屋へ
罰則が終わり談話室に戻ってくると、案の定ハリーとロンは既に蜘蛛を探しに行ってしまったようだ。誰もいない談話室に二人の名前を呼んだが、透明マントで隠れている様子もなく、ミラはため息を吐いてソファーに倒れ込むように座った。
罰則で受けた掃除で、手と腕が痛んだ。時々力を入れないと取れないところも多く、チェックの厳しいスネイプ先生の許可が出るまで大変な思いだったと、ミラは悪態をついた。なるべく二人が早く戻ることを祈り、ミラはそのまま待つことにした。
ガチャ、と談話室の扉が開く音が聞こえて、ミラは目を覚ました。どうやらあのまま眠ってしまったことに気が付くと、暖炉の火は燃え尽き、灰になった残り火が、僅かに赤みを帯びていた。透明マントを脱いだ二人が現れると、ミラが眠そうな声で二人を迎えた。
「よかった、二人とも無事みたいで」
「ミラ、いたの!」
「安否くらい確認しないと落ち着かないだろ」
二人は驚いた様子だったが、ロンはかなり疲れた様子で先に部屋に向かってしまった。
「…ハリーも疲れてるみたいだから、話は明日聞かせて。おやすみ」
「うん、おやすみ、ミラ」
部屋は暗かったが、ハリーの声色からして疲れていることがわかった。禁じられた森へ、しかも夜に行ったのだ。ハリーはともかく、ロンは思い出したくもない様子だったこと。ただでさえ嫌いな蜘蛛の跡を追いかけた、明日はどんな皮肉が聞けるのだろうかと、ミラも部屋に戻った。