第42章 答えはどこへ
その瞬間、グローヴァーが僕を睨み付けてきた。完全にキレたと理解すると、グローヴァーの腕をポッターが必死になってつかんで止めようとしていた。「やらせてくれと」と、ウィーズリーがロングボトムともう一人に腕を掴まれて唸っている様子も滑稽だった。
ほくそ笑んでいると、ポッターによって僕を殴りに来れないグローヴァーが、自身のカバンを僕に投げつけてきた。慌てそれを避けると、想像以上の早さでそれは僕の顔の横をお通り過ぎた。ヒヤリと冷や汗をかくと、後ろで誰かが「痛い!」と叫ぶのが聞こえた。グローヴァーの投げた鞄は、運悪くパーキンソンに当たってしまったらしい。
しかし、グローヴァーはそんなことはどうでもいいのか、目に入らないのか、必死にポッターを振り切ろうとしていた。言葉遣いも荒々しく、普段ポッターに使うような言葉遣いじゃないことに、流石に気付く。目が合うと、ゾッとするような怒りに満ちた目をしたグローヴァーに、足が咄嗟に一歩後ろに下がった。
「やめんかっ!」
と、そこへスネイプ先生が来てくれた。もう大丈夫だと、僕は安堵のため息を吐いた。
それからグローヴァーは罰則を言い渡され、ポッターはおまけに十点も減点されたことに笑いそうになった。口元に手を当てて我慢していると、グローヴァーはまたしても教室を凍りつかせるような発言をスネイプ先生にした。スネイプ先生に対して一歩も引かない姿勢に、コイツに怖いものはないのか?と思いたくなる。
予想よりも、グローヴァーは怒りを抑え込んだおかげで、凍り付いた魔法薬の教室に長居せずに済んだ。おかげでスネイプ先生の機嫌は最悪なものになったが、列の後ろでグローヴァーはニヤリと笑っていた。スネイプ先生を不機嫌にさせて笑っているなんて、グローヴァーはやっぱりヤバい奴だったと再確認した。