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【HP】怪鳥の子

第41章 深まる影


「こんなとき…ハーマイオニーがいてくれたら…」

 きっと嫌な顔せずに悩みを聞いて、最適なアドバイスをくれるだろうと、隣の空っぽのハーマイオニーのベッドを見ては、ため息を吐いた。----本当は、謝らなければいけないこともわかっている。でも、どうしてもその一歩が踏み出せなかった。マグゴナガル先生に、もし失望したなどと言われれば----そう思うだけでミラの心は沈んだ。



 反対に、この暗い状況を思いきり楽しんでいる者がいた。ドラコは主席になったかのように、肩をそびやかして学校中を歩いていた。いったい何がそんなに楽しいのか、ハリーには検討もつかなかったが、二週間ほど経った後の魔法薬学の授業で、わかる事になった。

「父上こそがダンブルドアを追い出す人だろうと、僕はずっとそう思っていた」

 と、ドラコは声もひそめる気もなく話していた。ハリーとミラ、そしてロンのすぐ後ろの席で、クラッブとゴイルにドラコが満足げに話すのが嫌でも聞こえた。ミラは無視した。そんなことはどうでもよかったからだ。

「お前たちにいって聞かせたろう。父上は、ダンブルドアがこの学校始まって以来の最悪の校長だと思ってるって。多分、今度はもっと適切な校長が来るだろう。『秘密の部屋』を閉じたりすることを望まない誰かさ。マクゴナガルは長くは続かない、単なる穴埋めだ----」

 ちょうどそこへ、ハリーとミラの間を通り過ぎたスネイプ先生が通り過ぎた。

「先生」と、ドラコが大声でスネイプ先生を呼び止めた。

「先生が、校長職に志願なさってはいかがですか?」
「これこれ、マルフォイ」

 スネイプ先生はそう言いつつも、薄い唇が綻ぶのを抑えきれていなかった。

「校長は理事たちに停職にさせられただけだ。私は、まもなく復職なさると思う」
「さぁ、どうでしょうね---先生が立候補なさるなら、父上が支持投票すると思います。僕が、父上にスネイプ先生がこの学校で最高の先生だと言いますから…」

「プッ」と、誰かが笑い声を漏らした。

 ドラコは一体誰だと、辺りを見回すと、斜め前に座っているミラが口に手も当てずに笑っていた。
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