第41章 深まる影
マクゴナガル先生は驚いたようにミラを見つめていた。ミラはハッと、自分が怒鳴ったことに気が付いてマクゴナガル先生を見上げた。
いつも厳格な顔をしているマクゴナガル先生の顔が、わずかに傷ついている様に見えた。
「…大広間はすぐそこなので、もう行きます」
ミラは堪らず駆け出した。
大広間に入りグリフィンドールのテーブルを見ると、ハリーとロンが既にいた。ミラは二人に駆け寄ると、気が付いたハリーが席を立って暖かく向かい入れてくれた。
「よかった、君だけでも元気になってくれて」
ハリーはミラを抱きしめた。
「君まで石になってたらと思うと、怖くて仕方なかった…」
「ハリー…」
ミラの顔はもう青白くはなかったが、明らかにハーマイオニーが石になって、落ち込んでいるのは見てもわかった。それでも、さっきマクゴナガル先生を怒鳴ってしまったことは言い出せなかった。三人は朝食を食べながら、こっそり昨日の夜に何が起こったかミラに話して聞かせた。
マクゴナガル先生が生徒たちに、いくつかの制限をもうけたこと。透明マントを使ってハグリッドに会いに行った事、ミラは静かに二人の話を聴き入った。
そして、ホグワーツには今、ダンブルドア校長がいないこと。昨晩、ハグリッドの小屋にルシウス・マルフォイがやってきて、ダンブルドア校長に辞任を突き付けた。その話しももう広まったのか、あちこちで不安と心配の声があちらこちらから聞こえてきた。
ハグリッドが残した蜘蛛のヒントを頼りに、三人はいく先々でくまなく探したが、城には一匹も蜘蛛が残っていなかった。ロンは嫌々ながらも、手伝ってくれた。しかし、自分勝手に歩き回ることは許されなかった。
談話室から教室へ向かうときも、教室から他の教室に移動するときも、先生に引率されなければならなかった。他の生徒たちはこのことを喜んでいたが、ミラたちをうんざりさせた。おかげでクモを探すことがより困難になった。
特にミラは一人の時間が取れず、イライラすることが増えた。マクゴナガル先生はあれから、変わらずミラとは接してはくれたものの、後悔と罪悪感が増えるだけで、どうしたらいいかもわからず、悩むことが増えた。