第41章 深まる影
誰がミラたちを見つけたのか、どうやって医務室まで運ばれたか、ミラは全く覚えていなかった。ベッドの上で石のように固まっているハーマイオニーの側で、ミラは自分の無力さに打ちひしがれていた。
マグル生まれのハーマイオニーだけは守ると決めていたのに、守れなかったことにただただショックだった。
マクゴナガル先生がハリーとロンを連れてきても、ミラは二人に合わせる顔がなかった。
「ごめん…図書室に行った時は…もう……」
「ミラのせいじゃないよ!」
ハリーとロンはミラに慰めの言葉をかけたが、ミラの顔は青白いままで、具合が悪そうにも見えた。泣いてはいないものの、目元が赤くなっており、全てに手が付けられない様子に、みんなは痛々しくミラを見つめた。
「今日はここで過ごしなさい、顔色が優れません----ポピー、あとはお願いします」
「ええ、もちろん」
マクゴナガル先生が気を効かして、ミラは医務室に残ることができた。ハリーとロンはマクゴナガル先生に引率されて、グリフィンドール塔へ戻っていった。夜が訪れても、ミラは全く眠れる気がしなかった。食欲も失せ、塞ぎ込んでしまったミラに、マダム・ポンフリーは無理やり元気爆発薬を飲ませた。
体の気だるさは取れたが、気分だけはいつまでも治ることはなかった。
次の日の朝、マクゴナガル先生が医務室までやってくると、ミラを大広間まで連れていってくれる事になった。
「気分はどうですか?」
「…大丈夫です」
ミラは暗い声で返した。
「自分を責めてはいけません、ミス・グローヴァー。こうなってしまっては、マンドレイク薬が完成するのを待つ他ないのです」
「責めるも何も、ハーマイオニーを一人にしちゃいけないって分かってたんです!あのとき、すぐに追いかけたんです!なのに----どうして、ハーマイオニーが…」
ぐるぐると強い怒りがミラの中で渦巻いていた。
「過去を悔やんでも仕方ありません。今、貴方に出来ることをやりなさい。お辛いでしょうが----」
「先生には分かんないですよ!!」
シン、としていた廊下に、ミラの声が響き渡った。