第40章 暗転
「ミラ、最近マルフォイから何か嫌がらせとかされてない?」
と、ハリーがミラの視界からマルフォイを遮るように目の前に座って、ミラに尋ねた。ミラはキョトンとした顔をしたが、確かに休暇前はしつこいくらいメッセージを送ってきたり、魔法薬では同じチームになったり、目がよくあっていたと言うのに、パッタリとそれがなくなった。
「そういえば、なくなった。多分飽きたんだよ」
ミラはハリーの後ろに隠れているドラコを覗き見た。前は睨み合っていたと言うのに、ドラコは全くこっちを見ない。どうして睨み合うのをやめたのか、ミラは考えても思いつかなかった。
「そっか。それはよかった」
ハリーは安心した顔をして、ミラも微笑んだ。
次のクィディッチの対戦相手はハッフルパフに決まると、ハリーは夕食後に毎晩練習に駆り出された。「朝練よりすごくマシだよ」と、ハリーは苦笑い気味に言っていた。ウッドのクィディッチに対する熱量は変わらず、よくハリーはこの男に着いていけるなと感心した。
クィディッチと宿題以外に、ほとんど何もする時間がないハリーに、ミラは絶対無理だと思った。箒に乗るのは好きだが、人にあれこれ指示されるのを嫌うのと、チーム戦を得意としないミラには難しいことだった。
試合を控えた土曜日の前日、グリフィンドール生はクィディッチ杯を獲得する可能性があるのではと、みんなの気持ちが最高潮に達していた。ハリーも日に日にやる気がみなぎり、最後の練習に意気揚々と向かっていった。
ハリーと別れた後、ロンはディーンとシェーマスと一緒にどこかへ言ってしまった。ミラはハーマイオニーと一緒に図書室に向かうと、ハーマイオニーは早速『古代ルーン語の優しい学び方』を手に取っていた。
「もう古代ルーン語の勉強をするの?」
「ええ、三年生になる前に予習はしておかないと。授業で遅れたくないもの」
「いや、ハーマイオニーが遅れたことなんて一度もないよ」
むしろ先を行きすぎてる、などとは言わない。
「読み終わったら、次貸して」
「ええ、もちろんよ」