第39章 明転
最初はただの小さな頭痛程度だと思っていたが、一週間以上も続くと流石に機嫌が悪くなるというもの。ハーマイオニーにしつこく「医務室に行くべきだ」と言われ、ミラは渋々行くことにした。
また酷い頭痛を起こして廊下で倒れることがあれば、ハリーたちだけではなく、マクゴナガル先生にまた心配をかけてしまうことになる。
マクゴナガル先生に心配の眼差しを向けられると、どうも居心地が悪く、思い出すと全身がむず痒くなるとミラは顔を顰めた。
夕飯を食べ終わった後、医務室にはハリーたちに付き添ってもらっていくことになった。マダム・ポンフリーから頭痛薬を貰うと、様子を見るためにその日は医務室で眠ることになった。
「どうして早く来なかったのですか」と、マダム・ポンフリーに怒られたが、すぐに薬を用意してくれた。
夕飯も既に済ましてあって良かったと、ミラは思った。
もし朝食の後に来ていれば、場合によっては一日中ベッドで寝かされる可能性もある。ただの頭痛だが、案の定医務室で寝ることになった。
マダム・ポンフリーから着替えのパジャマを受け取り、ハリーたちと明日の朝、大広間で会おうと約束した。三人が医務室から出るまでミラはその背中を見送った。
着替えを済ませてベッドにようやく入ると、薬が聞いてきたのか体が怠い感覚がした。頭もぼんやりし出し、すぐに眠れそうだと思っていると、ベッドを囲っているカーテンの外側から音がした。マダム・ポンフリーが様子を見に来たのかと思っていると、いきなりカーテンが開いて中に入ってきたのはドラコだった。
「…ドラっ----むぐっ!!」
「黙れ!」
慌てて起きあがろうとしたが、ドラコが慌てた様子でミラの口に手を当て、もう片方の手は肩を押さえ付けられ、ミラはまたベッドに逆戻りした。
「騒ぐな」
ミラは口を抑えているドラコの手の手首を掴み、離そうとしたが、ドラコはさらにそれ以上の力で押さえ付けようと力を込めた。油断したと、ミラはベッドの横にあった机に上衣の中に杖を入れっぱなしにしたことを悔やんだ。