第39章 明転
「でも、リドルってなんかパーシーそっくりだ。そもそも、ハグリッドを密告しろなんて、誰が頼んだ?」
「誰かが怪物に殺されたのよ、ロン」
「それに、ホグワーツが閉鎖されたら、リドルはマグルの孤児院に戻らないといけなかった----僕、リドルがここに残りたかった気持ち、わかるな…ミラもでしょ?」
ミラは頷いた。リドルがいた孤児院がどんなところかわからないが、帰りたくない気持ちはよく分かった。去年も夏休みの間は、ハリーとどれほどここに残れたらと話し合っただろうか。夏休みの間も、ハリーと早くホグワーツに帰りたいと愚痴をこぼしあったこともあった。
その後も、ハグリッドが『夜の闇(ノクターン)横丁』にいたという話が上がったが、『肉食ナメクジ駆除剤』を買いに来ていただけだとハリーが急いで行った。それでも四人を黙り込んでしまった。
「いっそ、ハグリッドに聞いてみよう」
「そうね…ここで考えてても仕方ないわ」
ミラとハーマイオニーがそう言うと、ロンがすぐに反論した。
「そりゃ、楽しいお客様になるだろうね。こんにちは、ハグリッド。教えてくれる?最近城の中でけむくじゃらの狂ったやつをけしかけなかった?」
結局四人は、また誰かが襲われない限り、ハグリッドには何も言わないと言うことに決めた。四人は重たい気持ちを引きずったまま大広間へ向かった。空いている席に座り、ミラは何十にも重ねられているトーストを数枚取ると、バターとジャムを塗って口の中に入れた。
ふと、視線を感じてトーストから顔を上げると、ばっちりとその視線の送り主と目が合ってしまった。ドラコから待ち合わせの合図を送られたが、ミラは顔を顰めてそっぽを向いた。ミラはドラコがジニーを傷付けたことを許せなかった。
それに、もう純血一族について、全てを聞いた。一体今更何を話そうと言うのだと、ミラはまた込み上げてきた怒りのまま、トーストにかぶりついた。