第38章 日記の行方
その日の夕飯を食べた後、ハリーは先に男子部屋にさっさと篭ってしまった。理由はフレッドとジョージが「♪あなたの目は緑色、青いカエルのピクルスのよう」と、何度も歌っていたせいだった。流石のハリーもうんざりしてしまったに違いない。
「やめなよ、フレッド、ジョージ。ハリーがうざがって部屋に篭っちゃった」
「ごめんって、ミラ」
「そんなミラのためにこの歌を捧げよう、♪あなたの目は紫色、マンドレイクの花のよう」
「フレッド!!」
双子はゲラゲラと笑って一目散に退散してしまった。まったく、とミラは疲労を感じながら、一年生の女子部屋に向かった。ジニーも談話室にはおらず、部屋に篭っているはハリーだけじゃない。きっとフレッドとジョージのせいで、恥ずかしい思いをしているに違いないとミラは心配していた。
部屋を訪ねると、案の定ジニーだけが部屋にいた。ベッドにうつ伏せてはいたが、眠ってはいなかった。
「ジニー、あのメッセージのことだけど、ハリーは恥ずかしくて笑って誤魔化したと思うんだ。マルフォイの言ったことなんか、気にすることないよ」
「…して……」
ジニーは何かを呟いたが、ミラは聞き取れず、ジニーに近付いた。すると、ジニーの顔は青白く、震えている様子が伺えた。
「ジニー、体調が悪いなら医務室に行こう」
ミラはジニーの上半身だけを支えて起こして、医務室に連れて行こうとした。
「どうして…ハリーがあの日記を持ってるの?」
「え?日記?」
ボソボソ話すジニーの言葉を拾ったミラは首を傾げた。
「ミラ、あの日記は…ごめんなさい、わたし、トムが…怖くてなって捨てたの」
「…トム?」
ミラはますます混乱した。ジニーは一体何を話しているのか、検討がつかなかった。
「ごめん、ジニー。トムって誰?」
「え!」