第38章 日記の行方
ジニーは信じられない、と言ったような顔でミラの顔を覗き見た。青白かった顔が、ますます血の気が引いたような顔色になり、ミラは早く医務室に連れて行かなければと思った。
「誰って、トムよ…日記の…」
「…もしかして、リドルの日記のこと?」
「そうよ。一緒に交代で貸してたじゃない」
「一緒に…交代で…?」
ミラはますますジニーが言っていることがわからなかった。記憶をどう掘り返しても、ジニーと日記を貸し合っていたことが思い出せなかった。しかし、ジニーの酷い動揺ぶりに、嘘を言っていない事はすぐに分かった。
「日記…日記……」
思い出そうとすると、頭がぼんやりとした。何度試そうとしても、頭には何も浮かんでこなかった。
----何か大切なことを忘れている気がする。
「ミラ、大丈夫…?」
難しい顔をしていたせいか、ジニーが心配そうにミラの顔を見ていた。
「…うん、なんでもない----日記のことは、私がなんとかする。捨てればいいんだな?」
ジニーは頷いた。
その後、ジニーは医務室には行かなくても大丈夫だと言い張り、ミラは渋々といった様子で医務室に連れて行くのを諦めた。----無言が続いた。何か得体の知れないものが自分とジニーにはあると、ミラは感じていた。
リドルの日記----五十年前----前回に秘密の部屋が開かれたのも五十年前----。
「うっ!」