第38章 日記の行方
「ちょっと見てからだ…ん?1942--」
「離せって!それにこれはハリーの日記じゃ----」
「エクスペリアームス!」
誰かが呪文を叫ぶのが聞こえた。ミラとドラコに引っ張られていた日記は二人の手を離れると、宙を飛んだ。日記はロンが満足げにニッコリと受け取った。ミラが振り返ると、武装解除を使ったのは、杖を構えたハリーだと気が付いた。
「ハリー!廊下での魔法は禁止だ。これは報告しなくてはならない、いいな!」
パーシーの怒っている声が聞こえたが、ハリーはどうでもよさそうだった。ミラもニヤリとドラコに笑ってみせると、珍しく怒っているドラコと目が合った。ハリーに上手に出られて怒っているのがありありと分かった。
まだこの場にいたジニーが、教室にいこうとミラとドラコの横を急いで通った時、ドラコはチラリとジニーを一見した。
「ポッターは、君のバレンタインが気に入らなかったみたいだぞ!」
「っ…マルフォイ!」
わざとジニーに意地悪く叫んだことに、ミラはカッとなってドラコの首元を掴んだ。しかし、もう遅かった。ジニーは両手で顔を覆って、教室に走り込んだ。あのメッセージがジニーだったと気が付いていたのは、ミラだけではなかった。
「やめるんだ二人共!」
パーシーが急いで二人の間に割り込むと、ドラコはふんっと鼻を鳴らしてクラッブとゴイルを引き連れて行ってしまった。
「パーシー!ジニーが泣かされたのになんとも思わないのか!」
「分かってる、君が言いたいことは。それより、今は教室に行くんだ」
「…チッ」
ミラはあからさまな舌打ちをパーシーにすると、ハリーたちと合流して教室に向かった。
「意気地なしだ、パーシーは。なーにが『今は教室に行くんだ』だ!」
「もっと言ってやってくれ、ミラ。僕もマルフォイにナメクジの呪いをかけてやろうって思ったんだ」
ミラとロンは、教室に着くまでパーシーとマルフォイの文句を言い合った。呪文学の教室に着いた後も、ミラはムスッとした顔で静かに授業を受けた。