第38章 日記の行方
ミラも慌てて立ち上がり、ハリーの後を追いかけてその場を去ろうとすると、諦めていなかった小人がハリーの膝あたりをしっかりと掴んだ。そのせいでハリーは床にバッタリと倒れてしまい、ミラは小人を蹴飛ばしてしまおうかと本気で思い始めたところだった。
小人はハリーの踝の上に座り込むと、ついに歌い出してしまった。
小人が歌い終わると、周りは一斉に笑い出した。ハリーも無理矢理笑っているような様子に、ミラも合わせて笑おうとしたが、一人だけ、顔を伏せている人物を見つけてしまった。ジニーだった。もう笑うことができなくなってしまった。
あたりを見回すと、ロンも笑っていたし、ハーマイオニーも口を押さえてクスクス笑っていた。ドラコも後ろに連れたクラッブとゴイルと一緒に大笑いしていた。
「さぁ、もう行った、行った。鐘は五分前に鳴った。すぐに教室に行け」
と、パーシーのおかげで下級生たちを追い払ってくれた。ミラは集めた学用品をハリーの側に置き、他に落ちていないか辺りを見回した。一冊のノートがまだ廊下に落ちているのを見つけ、ノートに手を伸ばした時、自分より誰かが先にサッと奪い取られてしまった。
「…返して」
「なんだ、ポッターは日記でも書く趣味でもあったのか?」
せせら笑った後、ドラコはクラッブとゴイルに拾った日記を見せた。
「返せってば」
ミラはドラコの持っている日記を掴んで引っ張ったが、ドラコは取られまいと日記を離さなかった。
「それは、返してもらおう」
ハリーもミラとドラコが日記の取り合いをしていることに気が付き、静かに言った。
「マルフォイ、それを渡せ」
パーシーも厳しく言った。