第38章 日記の行方
小人たちは一日中教室に乱入し、バレンタインズ・デイ・カードを配って、先生たちをうんざりさせた。その日の遅い午後、ミラたちが呪文学の教室に向かって階段を上がっているとき、小人がハリーを追いかけて来た。
「オー、あなたにです!アリー・ポッター!」
とびっきり顰めっつらの小人がそう叫びながら、人の群れを肘で押し退けて、ハリーに近づいてきた。自分たちの前に並んでいる一年生の中に、ジニーがいることに気が付いたハリーは、慌てて逃げるように駆け出そうとした。が、小人はそこいら中の人の向こう脛を蹴っ飛ばして、ハリーがほんの二歩も歩かないうちに前に立ち塞がった。
ハリーに歌のメッセージがあると、竪琴を脅かすようにかき鳴らし始めた。
「ここじゃダメだよ!」
と、ハリーが逃げようとすると、小人はハリーのカバンをがっちり捕まえてハリーを引き戻そうとした。ハリーのカバンにひっついている小人を引き離そうと、ミラは小人を掴んで引っ張り上げたが、小人はそれでもハリーのカバンから離れる事はなかった。
「離して!」と、ハリーがカバンをひっばりながら怒鳴ると、カバンが大きく裂ける音が聞こえた。カバンの中に入っていた本、杖、羊皮紙、羽ペンが床に散らばり、インク瓶が割れて、それらの上にインクが飛び散った。
「インクが…!」
ハリーは気にせずそれらを慌てて拾い集めていると、いつの間にか廊下は人で渋滞しており、ミラも急いでハリーの学用品を拾い集めた。
「何をしているんだい?」
冷たく気取った声が上から降ってきた。ミラは顔を上げると、意地悪そうな顔をしているドラコを見かけ、知らんぷりを決め込んで本を拾い集めた。ハリーもドラコには歌のメッセージを聞かれたくないのか、逃げ出そうと必死だった。
「この騒ぎはいったい何事だ?」と、パーシーまでもがやってきた。
「行こう、ハリー!」