第38章 日記の行方
その日は二月十四日の朝食の時に明らかになった。大広間に入った時、ミラは一瞬、部屋を間違えたと錯覚させるほどだった。壁という壁が、けばけばしい大きなピンク色の花で覆われていた。おまけに、淡いブルーの天井からはハート型の紙吹雪が待っていた。
「素敵!これだわ、ロックハート先生がおっしゃってた気分を盛り上げる方法って!」
ハーマイオニーは部屋に入った時から嬉しそうな声をあげていたが、ミラとロンは顔を引き攣らせて、それ以上大広間には入りたくないと体が拒否していた。
「おい、道を塞ぐなウィーズリー。中に入らないのなら退け」
そこへドラコと、後ろにはクラッブとゴイルがやってきた。
「ああ、行けよ。お前たちにお似合いだぜ」
ロンがあまりにも素直に道をドラコに譲ったので、ドラコは不審な顔でロンを見ていた----が、ドラコもすぐに気が付いた。大広間へ一歩入った瞬間、顔を引き攣らせて止まった。クラッブとゴイルも居心地が悪そうな顔をしており、ミラとロンも観念して中に入った。
ハーマイオニーはすでに席についており、ミラはその隣に腰掛けた。ロンはミラの前に座った。先生たちのテーブルを見ると、部屋の飾りに合わせたようなけばけばしいピンク色の上着を着ているロックハート先生が、嬉々とした顔で先生と話しかけているようだった。しかし、どう見ても先生たちの顔は石のように無表情だ。
ハリーは朝早くからクィディッチの練習に駆り出され、ミラはきっとこれを見たハリーも、目の前で吐き気を催しそうなロンのような顔になるのだろうかと、勤めて何も考えずに朝食を始めた。しばらくすると、朝練が終わったハリーが大広間にやってきたが、やはり反応は自分と同じで、慌ててテーブルにやってきた。
「これ、何事?」
と、紙吹雪で埋もれたベーコンを払いながら三人に尋ねた。ハーマイオニーはクスクス笑いを抑えきれない様子で、反対にミラとロンは暗い顔で朝食を食べていた。
ロンは口を利くのもうんざりだという顔で、ロックハート先生を指さした。ちょうど、ハリーがマクゴナガル先生を見ると、頬がヒクヒクと痙攣しているのが見えた。スネイプ先生は、誰かに大きなビーカーで骨生え薬を飲まされたような顔をしていた。