第38章 日記の行方
ハリーたちは慌ててミラの腕を掴むと、早くこの場から逃げ出した。
「何言ってるんだ!」と、ロンはミラに言った。
「本心を言ったのさ。いなくなってくれた方が学校のためだ」
「そりゃそうだ」
「ロン!」
ハーマイオニーはロンを咎めるように名前を呼んだ。
「ミラは正しいことを言ったんだ。ダンブルドアですらどうにもできないのに」
「だからって、みんなの前で言うことじゃないわ」
「今更だよ、ハーマイオニー。犯人が捕まらない限り、みんなは私かハリーが継承者だってそこら中で噂してるよ」
「でも、わざわざ目立たなくてもいいじゃない」
「あんな下手くそな歌を聞かされたらね」
ペロッと舌を出して悪戯っぽい顔をしたミラに、ハリーとロンはミラが全く反省していないなと思った。ハーマイオニーも気が付いてはいたが、ミラの言うことも一理あるのだ。
そしてギルデロイ・ロックハート先生は、自分が襲撃事件をやめさせたと考えているようだった。変身術の教室の前でグリフィンドールの生徒が列を作って待っている時、ロックハート先生がマクゴナガル先生にそう言っているのが聞こえたからだ。
「ミネルバ、もう厄介なことないと思いますよ。今回の『秘密の部屋』は、閉ざされましたよ」
と、訳知り顔でウィンクをしているロックハート先生に、マクゴナガル先生は冷めたような目をしていたが、ロックハート先生は気が付く事はなかった。
「私に徹底的にやられる前にやめたとは、中々利口ですな」
ミラとロンは顔を合わせると、お互いが苦い顔をしていた。
「そう、今学校に必要なことは、気分を盛り上げる事ですよ。先学期の嫌な思い出を一掃しましょう!今はこれ以上申し上げませんけどね、まさにこれだ、という考え事があるんですよ----」
自信満々に歩き去っていくロックハート先生に、みんなは顔を合わせた。マクゴナガル先生も不安そうな顔は見せなかったものの、何をするつもりだろうと疑り深い視線を送っていた。