第38章 日記の行方
「エインがお腹すいたみたいだから行くよ。今までありがとね」
「…言葉がわかるのか?」
と、ドラコは驚いた様子でミラを見ていた。
「わからない。でも、なんとなくそんなこと言ってる気がするだけ」
ドラコは顔を顰めた。
「あと、この子男の子だって。それはハリーが教えてくれたんだけどさ。ドラコと違って素直でいい子だって」
「余計なお世話だ」
ハリーとどのような会話をしたか気になるが、この蛇はそもそもドラコが魔法で出した蛇だ。今になって複雑な感情がドラコに湧いた。
「…名前もやったのか」
「うん。エインって名付けた。とある国の創造神、死と再生の神、エインガナから取った」
「随分大層な名前だな」
「ドラコ二世よりマシ」
「待て、誰がそんな前を付けようとした」
本当に嫌そうな顔をしているドラコの顔を見たミラは、フフっと笑みを溢した。
「どうせ双子のウィーズリーあたりだろう。そんなことを思いつのはアイツらぐらいだ」
「さぁ、誰だったかな」
ミラはまだ不愉快な顔をしているドラコの顔を見てクスクス笑った。今日は先にミラが教室の部屋を出ようとすると、ドラコは「待て」と声をかけた。
「散々純血のことについて教えたんだ。謝礼のひとつくらい貰ってもいいはずだ」
「…確かに」
ミラは聞きたいことは聞けたし、お礼の言葉だけでは釣り合わないことは理解した。しかし、ドラコが喜びそうなものなどちっとも思い浮かばず、結局何が欲しいのか聞く羽目になった。ドラコは待ってましたとばかりに腕を組んで、ほくそ笑んだ。