第37章 幸せの箱庭
二月の始めになると、ついにハーマイオニーが復活した。ヒゲも尻尾も無くなり、顔のどこにも猫の毛はついていなかった。
「猫マイオニーも可愛かったのに」
「もう懲り懲りだわ、あんな思いをするのは」
「それは残念だにゃあ」
「もう、ミラったら!」
一番喜んだのは、やっぱりミラだった。帰ってきたハーマイオニーに早々猫ジョークをぶつけてからかいだした。ハーマイオニーが怒って見せると、ミラはクスクス笑って「嘘だよ、おかえり」と言って、嬉しそうに微笑んだ。
ハーマイオニーがグリフィンドール塔に帰ってきた日の夜、ハリーはリドルの日記をハーマイオニーに見せた。見つけた時の様子も再度ミラは聞いたが、どこかモヤモヤするだけで、他の三人はすでに日記について話していた。
どうしてリドルが『ホグワーツ特別功労賞』をもらったのか、どうして誰が五十年前の日記を捨てようとしたのか----頭がぼんやりしてきて、ミラはそれ以上考えられなかった。
「この『日記』は五十年前のものなのよ」
と、ハーマイオニーの興奮した声にミラはハッと意識が戻った。
「リドルが『特別功労賞』をもらったってことは、もしかしたらリドルがスリザリンの継承者を妻変えたことで、賞をもらったとしたらどう?この『日記』は全てを語ってくれるかもしれないわ。『部屋』がどこにあるのか、どうやって開けるのか、その中にどんな生物が住んでいるのか。今回の襲撃事件の背後にいる人物にとっては、『日記』がその辺に転がってたら困るでしょ?」
「それは素晴らしい理論だよ、ハーマイオニー。だけど、ほんのちょっと、ちゃっちゃな穴がある。『日記』には何も書かれてないよ」
と、ロンが言った。
「透明インクかもしれないわ!」
ハーマイオニーがそう呟くと、杖を使って呪文を唱えたり、真っ赤な消しゴムの『現われゴム』を使ってゴシゴシと一月一日のページをゴシゴシと擦ったりしたが、何も起こらなかった。
「だから言ったじゃないか。何も見つかるはずないよ。リドルは、クリスマスに日記帳をもらったけど、何も書く気がしなかったんだ」
と、ロンがつまらなさそうに言った。