第37章 幸せの箱庭
(嘘だ----ドラコなら聞きたがるはずだ----)
でもあえて聞かない態度をしてくれた。ミラが聞かれたくないとバレバレの態度を見せたというのに----。
「ありがとう、ドラコ」
「----宿題を見てやってるんだ、貸し一つだ」
「わかった」
それから魔法薬の宿題は特にミスしたところはなく、ドラコは羊皮紙をしっかりと巻いてミラに放り寄越した。ミラはそれを難なく掴み取ると、鞄の中にしまった。部屋は相変わらず寒いままだったが、最初よりかは暖かくなった気がした。
「次はその寝不足をどうにかしろ。真面目に話を聞く気がないやつに割く時間はないんだ」
「あー…うん、わかった」
ドラコが先にドアに向かうと、ミラは部屋についている蝋燭を向かって、口元に手のひらを添えると、フーッと息をはいた。部屋中の蝋燭は次々に消え、部屋はまた薄暗い部屋へ戻った。
「…なんだ、そのやり方は…」と、ドラコは少し呆れたような視線をミラに寄越した。
「こっちの方がカッコいいと思って」
「どうだかな」
人を馬鹿にしたような笑みを浮かべて、ドラコは部屋を出て行った。