第37章 幸せの箱庭
ミラは変な違和感を首を傾げたが、すぐにどうでも良くなった。ハリーの持っている日記を見て、ミラは大きなため息をついた。
「そんなものより、『毛を逆立てる薬』の本を見つけてきた。やる気がないなら私一人でやるけど」
「ハリー、そんな日記そこに置いとけよ。乾くのにあと何時間もかかるぜ」
「そうだね…宿題している間に乾いてるかも」
ハリーは日記を開いて、暖炉の近くの床に置いた。
・・・・・
ドラコとの純血主義のことを教えてもらうことも、不定期ではあるが続いていた。休暇から帰って来た生徒たちが城内のあちこちにいるので、休暇と違って人目を気にしなければならなかった。更に休暇が終わったせいか、色々な先生からの大量の宿題をこなすこともまた一苦労だった。
いつもはハーマイオニーと一緒に宿題を片付けていたが、未だ医務室から帰って来れないハーマイオニーにミラは早く帰って来てくれと切実に願っていた。
「----だから、僕たち純血の一族は半純血やマグル生まれと違って偉いわけであって----おい、聞いているのか!」
ハッとミラは意識が戻った。ドラコの純血主義の説明が子守唄に聞こえるぐらい、ミラは眠る手前だったことに気が付いた。
「僕はお前の居眠りに付き合うほど暇じゃないんだ、やる気がないなら辞める」
と、すっかり不機嫌になってしまったドラコに、ミラは慌ててドラコの前に立ち塞がって止めた。
「ある!あるから行かないで!」
「じゃあ僕がさっき言ったこと、言ってみろ」
「うっ----純血一族は、半純血とマグル生まれに…偉そう、だっけ?」
「…」
ドラコは無言でミラを睨み付けた。流石にドラコに呆れられたことを理解したミラは、素直に謝った。