第37章 幸せの箱庭
ハリーとミラは何も言わなかったが、ロンの言いたい気持ちはよくわかった。だが、あえて突っ込まずに黙っていると、そこへマダム・ポンフリーが夜の薬を持って勢いよく入ってきた。運よくハーマイオニーは言い逃れをせずに済んだ。
「ロックハートって、調子のいい最低のやつだよな?」
「あんなのでも、ハーマイオニーの機嫌が良くなるんだから今回はいい仕事した方じゃないか?」
「君、もしかしてアイツのファンになったといいうんじゃ…」
「ないから」
ミラはバッサリとロンの発言を切り捨てた。
「あ、そういえばハーマイオニーに『髪の毛を逆立てる薬』にはネズミの尻尾を何本入れたらいいのかハーマイオニーに聞けばよかった」
「それくらい自分で調べたらわかることだろ」
すぐにハーマイオニーに頼って答えを求めようするロンに、ミラは咎めるようにロンを見た。先日、スネイプ先生がものすごい量の宿題を出したせいで、ハリーはやり終える前に六年生になってしまうかもしれないと思ったくらいの量だった。
「ハーマイオニーがいないんだから、自分たちでやるしかないよ。とりあえず、図書室で本を取ってくるから、二人は先に上で用意してて」
「わかった」
「助かるよ、ミラ」
ミラは二人に「じゃ、また後で」と声を掛けると、図書室に向かった。
目当ての本を入手すると、談話室の暖炉前でハリーとロンが勉強の用意もせずに、何かしているところを見つけた。
「どうしたんだ、二人ともこんなところで?」
本と勉強道具を抱えたミラは不思議そうに二人に近付くと、ハリーが黒いノートを乾かしていることに気が付いた。
「何、それ?」
「さっきマートルのトイレで見つけたんだ」
「T・M・リドルって奴の日記っぽい。なんにも書いてないけど」
「…リドル?」
(……?)