第36章 這い寄る闇
「なんのこと?私は最初からドラコは『継承者』じゃないってわかってたよ」
「嘘をつくな!お前ら、クラッブとゴイルに何をしたんだ。どんな魔法を使った?」
ポリジュース薬のアイディアも、継承者がドラコだと思ったことはないのに、まるで八つ当たりを受けているようだった。特にハリーにいっぱい食わされて、悔しい気持ちでいっぱいなのだろう。
ミラはハリーとロンから聞いた『秘密の部屋』の情報以外に、自分の出生の話が出た時は驚かされた。
『マルフォイが言ってたんだけど、君は純潔の家系の隠し子なんじゃないかって言ってた。アイツの父親は君のこと、何か知ってるみたいだったけど…気をつけた方がいい。マルフォイは君を利用しようとしている』
と、ハリーが教えてくれた。
--そうだ、純血のこと、ドラコから聞かなきゃ…。
そう思ったら、ミラは幸福感に包まれるような気持ちになった。そして、それをやらなければいけないのだと、思っている自分がいた。
「私、ドラコに聞きたいことがあって」
「僕の質問には答えないくせに、僕から何を聞き出したいんだ?」
「私はクラッブとゴイルには何もしてない。それより、純血主義について教えて」
「はあ?」
ドラコは信じられないような目でミラを見つめた。散々純血や家の事情など気にもしなかったミラから、純血について知りたいという言葉が出たことに、ドラコは驚きを隠せなかった。
「----騙されないぞ。そうやって、僕からまた情報を吐かせるつもりなんだろう」
「違う。本当に教えてほしい--私、純血について何も知らないし…それに、ドラコはちゃんと純血であることに誇りを持ってる。それを、何も知らないまま否定するのはよくないって、やっと気が付いたんだ。こんなこと、ドラコしか聞けない」
ミラの目は真剣だった。これにはドラコも困惑した。
「なんだ…お前らしくない…ウィーズリーにでも聞けばいいだろう」
「ロンじゃ駄目…それは、ドラコが一番わかってるはず」
ドラコは慎重に、そして警戒してミラを見据えた。特に変わったところはないが、相変わらず何を考えているかわからないところも変わっていない。