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【HP】怪鳥の子

第35章 クリスマスとポリジュース薬


「いや、アイツは使える。もう少し様子を見るつもりだが、間違っても父上には言うなよ」

 ハリーは頷いた。ハリーは、ドラコがミラがどこの純潔の家系の生まれなのかが気になり、関わっているのだろうと思った。そうでなければ、魔法薬であんなに組むはずがないと、安心のようなものを感じた。


「じゃあ、前に『部屋』を開けた者が捕まったどうか、知ってる?」
「ああ----誰だったにせよ、追放された。多分、まだアズカバンに居るだろう」
「アズカバン?」
「アズカバン----魔法使いの牢獄だ」

 キョトンとしたハリーに、ドラコは信じられないと言う目つきでゴイルを見た。

「ゴイル、お前がこれ以上うすのろだったら、後ろ歩きを始めるだろうよ。とにかく、父上は僕が目立たないようにして、スリザリンの継承者にやるだけやらせておけとおっしゃる。この学校には『汚れた血』の粛清が必要だって。でも関わり合いになるなって。それに、父上は今、自分の方も手一杯なんだ」

 先週、館に魔法省が立ち入り捜索をしたこと。ドラコの父はとても貴重な闇の魔術の道具を持っていること。それが応接間の床下に、マルフォイ家の『秘密の部屋』がある----と言いかけた時だった。

「ホー!」と、ロンが言うと、ハリーとドラコは一緒にクラッブを見た。

 赤くなったロンが、髪の毛まで赤くなり始め、鼻も段々伸びてきた。ロンは自分が戻りつつあることに気が付いた。何故なら、ゴイルの額に傷ができ始め、髪の毛も伸びていたからだ。時間切れだ!と、二人は大急ぎで立ち上がった。

「腹の薬だ!」

 と、ロンは呻きながら走り出し、ハリーも振り向きもせずにスリザリンの談話室から一目散に駆け抜け、石の扉に猛然と体当たりして、廊下を全力疾走した。


 スリザリンの談話室の扉の近くで待っていたミラは、いきなりドアが大きな音を立てて空いたので、ビックリしてその場に固まった。扉から赤毛のクラッブと、髪がボサボサのゴイルが全速力で廊下を走り抜けていった。

 ポリジュース薬の時間切れで、ハリーとロンが慌ててスリザリンの談話室から逃げ出してきたのだとミラは気付いた。まさか置いてけぼりにされるとは考えてはいなかったが、本当にギリギリだったのだろうと、透明マントの中でホッとため息をついた。
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