第35章 クリスマスとポリジュース薬
「いや、ない。ゴイル、何度も同じことを言わせるな。それに、父上は前回『秘密の部屋』が開かれた時のことも、全く話してくださらない。もっとも、それは五十年前の話だ。父上の前の時代だが、父上は全てご存知だ。他の教師も知っているが、みんな沈黙させられている。それに、僕がそのことを知りすぎていると怪しまれることになるとおっしゃるんだ。でも、一つだけ知ってる。以前に『秘密の部屋』が開かれた時、『汚れた血』が一人死んだ。だから今度も時間の問題だ。アイツらのうちの誰かが殺される。グレンジャーだといいのに」
と、ドラコは最後に小気味良さそうに言った。ロンはクラッブの巨大な拳を握りしめた。今ここでドラコをぶん殴ってやりたい気持ちでいっぱいになった。しかし、ドラコを殴れば正体が一発でバレてしまうため、ハリーはまた素早く質問した。
「グローヴァーは?アイツもポッターの仲間だし、継承者って噂もある」
咄嗟の質問だったとはいえ、ハリーはどことなくミラとドラコの関係が気になっていた。ブラッジャーのことも、継承者のことも、ミラはずっとドラコではないと言い張っていた。ドラコがどう答えるのか、ハリー、そしてロンもドラコをジッと見つめた。
「グローヴァーか----アイツは『汚れた血』じゃないが、ポッターと同じでまともな魔法使いの感覚がない。ポッターのお守りばかりして、何が楽しいのかわからないな。だが、アイツはグリフィンドールには向いていない。スリザリンに入ってれば、僕が色々と教えてやったのに----」
ハリーには、ドラコがミラがスリザリンに入寮しなかったことを残念に思っているように見えた。
「なんでグローヴァーが『汚れた血』じゃないって知ってるんだ?」
「ゴイル、前にも言っただろう。前にアイツとダイアゴン横丁で会った時、父上の様子がおかしかった。あの女には関わるなとおっしゃられたが、『汚れた血』ではないとだけ教えてくれた。アイツ自身自分のことを知らないみたいだが、僕が思うに、どこかの純潔の家の隠し子の可能性が高い。父上はアイツを見た時、興味深そうに見ていた。きっと心当たりがあるに違いない」
ドラコは興味深そうに顎に手を当てた。
「関わらない方がいいんじゃ…君の父上もそう言ってるんだし」