第35章 クリスマスとポリジュース薬
「それに、この間の魔法薬の授業で、ゴイルの鍋に何か入れたのはポッターだろ。僕の気を逸らすために、わざと薬を上手く作らなかっただろう」
わざとではなく、手元に集中できなかったのは、ドラコが横の席に座ったことが原因だったが、なぜ手元に集中できなかったのかの説明も、ドラコにはできなかった。何も答えないミラに、ドラコはやっとミラを追い詰めたと思い、ニヤリと笑った。
「目を付けられてるポッターが、わざわざスネイプ先生の授業で騒ぎを起こすなんて考え難い。大方ポッターは囮か騒ぎを起こす役だった----お前は僕の見張り役、ウィーズリーは間抜けだ、ただ突っ立てただけだろう。そうなると、グレンジャーがその間に何かやった、そうじゃないのか?」
ミラはヒヤリとした。ドラコのことを侮ってはいなかったが、ハリーのことになるとここまで執念深く、頭が回ることに驚かされた。ロンを悪く言ったことには不快を感じたが。
「すごいな、ドラコ」と、ミラは薄く微笑んだ。
「もし、仮にその仮説があっていたとしていたら、目的はなんだと思う?」
下手に誤魔化せば、ドラコにはバレそうな気がした。反面、やはりドラコは頭がいいことを素直に認めている自分がいた。
「最初は目立ちたいだけかと思ったが、あの聖人ぶったポッターのことだ。秘密の部屋の『継承者』を見つけて、みんなから称賛されたいんだろう」
「半分正解だけど、半分ハズレ」
どうしてドラコはハリーが目立ちたがりたいと思うのだろうと、ミラは呆れた顔でドラコを見ていた。ハリーはただ普通の生徒として過ごしたいだけなのに----。
「ドラコは---もう誰が『継承者』かわかった?」
これ以上質問されれば、ポリジュース薬のことを嗅ぎつけられるかもしれないと思ったミラは、話題を逸らすことにした。ただし、証拠はひとつもないため、ドラコの仮説だけでハリーたちを退学にすることはできない。
話に乗ってくれるかわからなかったが、ミラはドラコが『継承者』だとは微塵にも思っていないので、あえて『継承者』の話しを持ち出した。ドラコは、ミラが自分の仮説が正しかったのかはっきりと答えてくれなかったが、認めてくれたことだけは分かった。
そして、これ以上答える気はないのだと言うことも。