第35章 クリスマスとポリジュース薬
ハリーとロンの懇願で、スネイプ先生以外のスリザリン生の髪の毛を取ることになったミラは、一人大広間にこっそりと戻っていた。
ハーマイオニーはポリジュース薬の様子を見に行き、ハリーとロンは玄関ホールに隠れて、クラッブとゴイルの待ち伏せをしていた。
大広間にはまだ何人かのスリザリン生が残っていたが、ドラコと関係のありそうな生徒が誰か皆目検討がつかなかった。同級生はすでにドラ子達しか残っておらず、上級生か下級生どちらかを狙うしかなかった。
何本も立ち並んでいるクリスマスツリーの影に隠れて、大広間から出ていく生徒達を見ていた。ドラコから『秘密の部屋』について聞き出すことも大事だが、スリザリンの談話室がどのような内装になっているのか、ミラは気になっていた。
そのためには、なんとしてもスリザリン生の髪の毛が必要なのだが、グループで帰っていく生徒が多く、とても背後から複数人に呪文を当てるのは現実的でないと判断した。中々相手が見つからず、困り果てていると、ふとクラッブとゴイルがまだテーブルに残って、デザートのトライフルをガツガツ食べていた。
よくあんなに食べれるなと呆れ果てていると、その席にドラコの姿がなかった。大広間を出て行く姿は見ていなかったし、少し前までにはいたはずなのに----と、ミラはあたりを見回した。
「随分と熱心に誰かを探しているんだな、グローヴァー」
背後から声が聞こえると、ミラは慌てて振り返った。
「ドラコ…なんでここに?」
「さっきポッター達と出ていったくせに、一人だけで戻ってくるなんて、誰だっておかしいと思う」
「まるでスネイプ先生みたいな考え方みたいだ」
ハリーの存在自体が問題の種だと思っていそうなスネイプ先生の考えは、しっかりと生徒にも受け継がれているみたいだ。またしても不測の事態かと、悪態をつきたくなった。
「それで、何をしているんだ?」と、怪しむようにミラを見るドラコ。
「別に何も」
「じゃあなんでこんなところでコソコソしているんだ?誰を探している?」
逃がさないぞとばかりに、ドラコはミラに詰め寄った。