第35章 クリスマスとポリジュース薬
「さぁね。次は誰が狙われるのか----ーせいぜい『継承者』に目を付けられないことだな」
と、ドラコはニヤリと笑った。
「言っとくけど、私はあなたが『継承者』だとか思ってないから」
「は?何を根拠に言ってるんだ」
「禁じられた森に入るだけでビビってたドラコに、人を石化させるなんて…」
「ビビってなんかいない!そもそも、あんな時間に禁じられた森に生徒を生かせる方がおかしいんだ!それにあの森の奥には…」
ドラコはユニコーンの血を啜っていた覆面の化物を思い出したのか、口を閉ざしてしまった。
「秘密の部屋には怪物がいるらしいってビンズ先生が言ってた、もしかしたら去年の化物よりヤバいやつかもしれない」
「けがれ…」ミラはドラコを鋭く睨んだ。
「----マグル生まれのの奴らを追放するんだ、それくらいの怪物がいてもおかしくないだろ」
「私は別に、今まで襲われた人たちのことはどうでもいいと思ってるよ。むしろ静かになって清々してるね。フレッチリーなんか、勝手にハリーを怖がってざまぁみろって感じさ」
薄ら笑いを浮かべたミラに、ドラコは薄寒さを感じた。確かに、ミラはハリーに付き纏うコリンを鬱陶しがっていたのを何回か見たことがあった。ジャスティンも決闘クラブの件で余計にハリーが『継承者』じゃないかと疑い、避け、学校中の生徒からヒソヒソと話しをしているの見ない日はない。
「でも、もし私の大切な友達が襲われたら、『継承者』がもしドラコでも容赦しないから」
ドラコは、ミラの大切な友達がハーマイオニー・グレンジャーだとすぐに分かった。もし彼女に何かれば、手酷い復讐をしてやると、ミラは凍えるような目付きをしていた。
「なら、傍にいてやる事だな。僕の気が変わらないうちに」
二人はしばらく静かに睨み合った。大広間には穏やかなクリスマスソングが聞こえてくるのに、この場だけが場違いなくらい、冷え冷えとしていた。
「ドラコが『継承者』じゃないって、証明してみせるよ」
「ふん、やってみるがいいさ。どうせ無理に決まってる」
せせら笑って、ドラコは大広間から出ていってしまった。完全に油断していると判断したミラは、今夜ハリーとロンがクラッブとゴイルに化けて秘密を明かしに行くなんて、夢にも思ってもいないだろう。