第35章 クリスマスとポリジュース薬
「ざわざわ挨拶に来てくれたってのか、え?マルフォイ」
「ウィーズリー、有名なポッターに着てもらえれば、少しはそのボロ切れも価値が上がるだろうよ。僕なら耐えきれないね、そんなものを着るなんて」
「ミラがいないと、随分口が回るみたいだね。返り討ちにされるのが怖いんだろう」
ドラコはせせら笑うをやめて、ハリーを睨み付けた。
「怖いだって?いつまでもグローヴァーにお守りされてるお前に言われたくないな、ポッター。グローヴァーには同情するよ」
「お守りされてるのは君じゃないのか、後ろの二人がいないと、怖くて僕たちに話しかけられないくせに」
ハリーとドラコは静かに睨み合った。きっとここが大広間ではなく、決闘クラブの場であれば、すでに呪文を掛け合っていただろう。クラッブとゴイルも自慢の拳ボキボキを鳴らすだけで、殴りかかってはこない。
「決闘なら受け付けるぞ、談話室を抜け出す覚悟があればね」
「忘れていないか、ポッター。お前達が少しでも校則を破れば退学だってことを----ウィーズリー、お前のママがやってくるぞ----お前達、また何かするつもりだろう」
ドラコは分かっているぞと、ハリーを探るような目で見ていた。
「見つけ次第、お前達をスネイプ先生の前に突き出してやる」
ふん、と鼻を鳴らして、ドラコはクラッブとゴイルを引き連れてスリザリンのテーブルに戻っていった。
「大丈夫さ、誰が僕たちがクラッブとゴイルに変身できると思ってる?今夜退学になるのはアイツさ」
「絶対に聞き出してやる。マルフォイが『継承者』だってこと」
パーティが始まる前から、二人はポリジュース薬を飲むことに不安を思えていたが、今は違った。今ならポリジュース薬を何杯飲んででもいいとさ思えるくらい、二人は闘志に燃えていた。二人の元へ戻ってきたミラとハーマイオニーは、やる気に満ちたハリーとロンを見て首を傾げた。
頃合いを見て、四人は大広間から出た。ついに今夜の計画の詰めに入った。
「分かってると思うけど、これから変身する相手の一部分が必要なの」と、ハーマイオニーはまるで二人に、スーパーマーケットに行って洗剤を買って来いとでも言うかのように、こともなげに話しだした。