第35章 クリスマスとポリジュース薬
二人が近付いてきたことに気が付いたマクゴナガル先生は、飲んでいたお酒の入ったゴブレットをテーブルに置き、スッと背筋を正した。
「楽しんでいますか?」
「はい、ホグワーツのクリスマスがこんなに楽しいだなんて、私去年みんなに聞かされてずっと楽しみにしてたんです」
ハーマイオニーは嬉しそうに言った。
「先生、今年も変身術の本をありがとうございます」と、ミラははにかみながら会釈した。
「ミス・グローヴァー、貴方のプレゼントとカード、とても嬉しかったですよ」
と、マクゴナガル先生は着ていたドレスの胸元に、キラリと光る猫のピンバッチを見せてくれた。猫の目はサファイアのように青く、優雅にたたずむポーズをとっていたと思うと、体を伸ばすような仕草に変化した。時間が経つと、形状が変化するように魔法を組み込んであった。
「大したものじゃないですけど…」
「いいえ、ミス・グローヴァー。贈り物に大したも何も関係ありません、気持ちが大事なのです」
「そうよ、ミラ。あなた、これを作る為に本を読み漁っていたじゃない」
「そんなこと、言わなくていいからハーマイオニー…」
ミラはマクゴナガル先生に顔が見えないようにそっぽを向いた。首元に手を当てて、困った顔をしていた。それが照れ隠しだと、ハーマイオニーとマクゴナガル先生にはちゃんとバレていたのだった。
ミラとハーマイオニーがマクゴナガル先生のところへ行っている間、ハリーとロンは食事を楽しんでいた。ハリーは好物の糖蜜パイをお代わりしようと手を伸ばしている時だった。
「今年もそのダサいセーターを着ているのか、ポッター」
クラッブとゴイルを引き連れたドラコが、偉そうに腕を組んでせせら笑っていた。せっかくの幸せな時間を壊されたハリーとロンは、嫌そうな顔でドラコを見た。