第35章 クリスマスとポリジュース薬
「着たよ、ハーマイオニー…」
ミラはベットの後ろから姿を表すと、ハーマイオニーは自分よりも嬉しそうな顔をしていた。
「やっぱりよく似合ってるわ。私、一度でいいからあなたのワンピース姿見てみたかったの」
「このストッキング、なんか落ち着かない…やっぱりズボンに着替え----」
「ダメよ、おばさんが悲しむわ。せっかくあなたのために編んでくれたのよ」
「そうだけど…」
モリーの想いも分かってはいるが、初めて着たワンピースにミラはまだ馴染めないでいた。それに、アーサーの車は暴れ柳に衝突して以来、行方がわからなかった。自責の念が深々とミラに突き刺さり、ミラは駄々をこねるのをやめた。
「分かった----じゃあ、ハーマイオニー、これお願いしてもいいかな?」
ミラは少し照れくさそうに、手に持っていたエメラルド色の綺麗なバレッタをハーマイオニーに差し出した。
それは、去年のクリスマスにハーマイオニーがミラにプレゼントしたものだった。あいにく、その後髪の毛が短くなり、活躍する日がなかったのだが、髪もようやく肩を超えて結べるようになったのだ。
ハリーとロンは、部屋から降りてきたミラを見て、ポカンと口を開けたまま固まった。着替えている間に、談話室にはフレッドとジョージ、ジニーも揃っていた。
「さすが母さん、見たら喜ぶぞ」
「お礼の手紙、嬉しそうに飾ってたぜ。夏休みの間、どれを作ろうか本を漁ってたもんな」
フレッドとジョージが言うと、ミラは着て良かったと思った。去年のセーターもまだ着れるが、すでに毛玉があちこちにでき始めていた。ジニーも嬉しそうにミラを見ており、ミラもにっこり笑ってみせた。
「髪はハーマイオニーがしてくれたの?」
「うん、どう使っていいか分からなくて」
ミラの後ろの髪は、上の方で二本の束がクルクルと捻じられ、その真ん中でバレッタが二本の束を挟んでいる髪型だった。ワンピースの色のせいもあってか、エメラルド色のバレッタは小さくも存在がはっきりして見えた。