第35章 クリスマスとポリジュース薬
ロンからはドラゴンがプリントされた栞だった。向きを変えると色々なドラゴンに代わり、名前も浮かび上がってくるもので、ミラは何度も向きを変えて楽しんだ。
「凄いな、この栞。本よりこっちの方をずっと眺めていたいよ」
「気にいると思ったんだ、まだチャーリーからノーバートの写真をもらってるみたいだし」
「もう私たちよりかなり大きくなってた。手の毒だけじゃ済まないよ、絶対」
ロンは顔を引き攣らせた。去年ドラゴンに噛まれたロンの手は緑色に変化し、医務室送りになった。「アイツの毒は効いたぜ」と、今はもう何もない手を痛そうに振ってみせた。
マクゴナガル先生からも届いていた。『変身術の更なる応用と理論』と、去年よりも少し難しそうな本が送られてきた。内容は二年生の習っているものよりも難しく、これは読み応えがあるぞとミラは本を大事に抱きしめた。
モリーからも贈り物が届いていた。今年のは少しくすんだオレンジ色の手編みのセーターかと思ったら、セーターを掲げるとそれはハリーよりも腹部が長く、ミラの膝くらいまでの長さがあった。
「あら、素敵なワンピースじゃない」
褒めるハーマイオニーをよそに、ミラは困惑した様子で手編みのワンピースを見ていた。去年のホグワーツの制服に袖を通した時、そこで初めてスカートをはいたのに、ましてやワンピースやドレスを今まで着たことがないミラにとって、どうすればいいかわからないものだった。
「でも、ワンピースなんて着たことがないし…」
「じゃあ今日早速着ましょう!クリスマスパーティにちょうどいいわ!」
「で、でも似合うかわからないし…」
「似合うわ、去年のセーターも凄く良かったもの」
助けてくれと救難信号をハリーに向けてみたが、その前にハーマイオニーが嬉しそうにミラの腕を引っ張って部屋へと連れて上がっていった。せっかく着替えたばかりだと言うのに、ハーマイオニーは自分の黒のストッキングをミラに渡して、着替えるまでは部屋から出さないと、扉の前に立ち塞がった。
ミラは渋々はいていた長ズボンから、ストッキングへと履き替えた。長袖の服はそのままに、ワンピースを頭から被っていく。