第35章 クリスマスとポリジュース薬
「おかげでノクチュアがヤキモチを焼いて、最近顔を見せてくれないって嘆いてたよ」
「でもコイツって、マルフォイが出した蛇だろ?大丈夫なのか?」
フレッドは興味深げに蛇に近付くと、ロンが「触らない方がいい」と言った。
「そいつ、気に入らない奴には噛もうとする。毒はないっぽいけど」
ロンは最近、蛇がソファーに眠っているのを知らずに上から座ってしまったため、蛇に大層嫌われていた。ロンが近付くだけでシューシューと威嚇の音を出し、牙を見せつけてくるのだ。
「じゃあなんだかんだミラのことは気に入ってるんだ、この蛇」
「案外面倒見がいいから、ミラは。ジニーだって夏休み中はミラにべったりだった」
「そんなことないわ!」
フレッドにからかわれたジニーは、燃える髪と同じくらい顔を赤くさせて叫んだ。
「名前は決まってるか?」
「いいえ、まだよ」
ジョージの問いに、ハーマイオニーがすかさず答えた。
「じゃあコイツの名前はドラフォイだな」
「やめてくれよ。呼ぶたびに嫌なやつを思い出す」
ロンはこの世の終わりだと言う顔でジョージに言った。
・・・・・
「ミラ、起きて!朝よ!」
クリスマスの朝がやってきた。ハーマイオニーに起こされたミラは、眠たい頭をなんとか持ち上げた。寒い、真っ白な朝だった。
「また夜遅くまで起きてたの?」
部屋にはミラとハーマイオニーしか残っていないため、ハーマイオニーの遠慮のない大声が頭に響いた。
「うん、眠れないから本を読んでて…集中しすぎたみたい」
「もう、せっかくのクリスマスなのに」
「大丈夫…ちゃんと今日は、起きてるから…」
と、目を閉じて船を漕ぎ出したミラに、ハーマイオニーはため息をついた。
「薬の様子を見てくるから、ミラはそれまで寝てて」
「ありがと…」
大きな欠伸をしたミラは、また布団の中に潜り込んで眠ってしまった。