第34章 決闘クラブと蛇
みんな額を寄せ合って、夢中で何かを話している様子だった。二人はそっと近寄り、並ぶ本棚に隠れて耳を澄ました。
太った男の子が、ハリーが次に狙うのはジャスティンじゃないのかと話し始めた。うっかりハリーに自分がマグル出身であることや、目立たないように部屋に隠れていること。
他のハッフルパフ生の女の子も、ハリーは本当に継承者なのかともどかしげに、太った男の子に聞き返していた。
太った男の子、アーニーは続けて話し出した。フィルチの猫が襲われたのは、フィルチと揉め事があったことや、一年生のクリービーはクィディッチの試合で泥の中で倒れているハリーの写真を撮りまくったことが原因で起こらせたなどと----ミラは眉間に皺を寄せて、拳をぎゅっと力強く握りしめた。
ハンナと呼ばれた女の子は、それでもハリーが継承者かどうか怪しんでいた。ヴォルデモートを倒したハリーがマグル出身の生徒たちを襲うのはおかしいと--。しかしアーニーは、ハリーが初めから強大な闇の魔法を使え、それをヴォルデモートが恐れて殺しに来たのだと話した。
「じゃあミラって子は?あの子、ちょっと変わってるというか…あの怒ってた蛇を拾ったわ」
「あいつも怪しいと前々から思ってた…魔法薬学でマルフォイとつるんでるらしって聞いたことある----もしかしたらハリーとグルかもしれない」
----何を言っているんだ、とミラは呆れて言葉も出なかった。しかし、我慢の限界が過ぎたハリーは大きな咳払いをして、本棚の陰から姿を現した。ハリーの姿を見たハッフルパフ生たちは、いっせいに石になったかのように動きを止めた。
ミラも本棚から姿を表すと、ハッフルパフ生たちは更に顔を青くさせた。
「やあ」
ハリーが声をかけた。
「僕、ジャスティン・フィンチ・フレッチリーを探しているんだけど」
ハッフルパフ生の恐れていた最悪の事態が現実のものになった。みんな恐々とアーニーの方を見た。
「あいつに何のようだよ」
アーニーの声は震えていた。ハリーは冷静に決闘クラブで起きた本当のことを話したいと申し出た。ハリーが蛇に話しかけたことで、蛇はジャスティンから退いたというと、アーニーは蛇をジャスティンに追い立てたと頑固に言い張った。