第34章 決闘クラブと蛇
ハリーがジャスティンの顔を見ると、険悪な、恐怖を浮かべた表情をしていた。
「一体、何でからかうんだ?」
と、ジャスティンが叫んだことで、はしゃいでいたミラもやっと周りが不気味なくらい静かなことに気が付いた。困惑した様子で近くにいたドラコを見ると、ドラコも信じられないような、顔を引き攣らせた様子でミラたちを見ていた。
ジャスティンはくるりと背を向けて、怒って大広間から出て行ってしまった。
「何、アイツ…せっかくハリーが大人しくさせてくれたのに」
ミラは忌々しくジャスティンを見た後、ハリーの足元にいる蛇にかがんだ。
「おいで、怖かったよね」
ミラが蛇に優しく語りかけて手を出すと、蛇は静かにミラの手に這い寄り、腕に体を巻きつかせながらよじ登って首に緩く巻きつくと、周りの生徒がますます青ざめた様子でミラを見ていた。
周囲がヒソヒソと、何やら不吉な話をしていることにハリーもミラも気付き始めた。スネイプ先生は鋭く探るような目つきでハリーのことを見ていたし、一体何がおかしいのか、ミラはわからなかった。
その時、誰かが後ろから二人の上衣の袖を引っ張られた。
「行こう、二人共----早く、来て」
ロンだった。二人は訳がわからないままロンについて行くと、ホールの外に連れ出してくれた。ハーマイオニーも後から急いでついて来た。四人が通り抜ける時、人垣が割れ、まるで病気でも移されるのが怖いとでも言うかのようだった。
ミラはハリーを見ると、ハリーもなんだかさぱりわかないと言った顔をしていた。ロンもハーマイオニーも、人気のないグリフィンドールの談話室まで、何も説明してくれなかった。ロンは二人をソファーに座らせた。
「ハリー、君は『パーセルマウス』なんだ。どうして僕たちに話してくれなかったんだ?」
「僕が、なんだって?」
「『パーセルマウス(蛇語使い)』だよ!君は、蛇と話ができるんだ」
「そうだよ。でも、今度で二度目だよ。一度、動物園で偶然、大ニシキヘビを従兄弟のダドリーにけしかけた」
「ハリー、そんな面白そうな話なんでしてくれなかったんだ?最高の話じゃん!」
ミラはハリーの隣の席でウキウキしながら、もっと話を聞きたそうな顔をしていた。