第34章 決闘クラブと蛇
中には鼻血を出している生徒も何人かいた。「やめなさい!ストップ!」と、ロックハート先生の叫び声も聞こえたが、それは誰にも届いていなかった。ロンは青白い顔をしたシェーマスを抱き抱えて、折れた杖がやってしまった何かを謝っていたし、ネビルとジャスティンも息を弾ませて床に横たわっていた。
「フィニート・インカンテイタム(呪文終了)!」
と、スネイプ先生が叫ぶと、カオスな状況になっていた生徒たちがかけられた呪文から解放された。ハリーの足は踊るのをやめ、ドラコは笑うのをやめて、周囲を見回していた。ロックハート先生は生徒の群れの中を素早く動きながら、心配そうに声をかけていた。
「まずはーーー非友好的な呪文の防ぎ方をお教えする方がいいようですね」
と、ロックハート先生は面食らって突っ立ったまま呟いた。
「さて、誰か進んでモデルになる組はありますか?----ロングボトムとフィンチ・フレッチー、どうですか?」
「ロックハート先生、それはまずい。ロングボトムは簡単極まりない呪文でさえ惨事を引き起こす。フィンチ・フレッチリーの残骸を、マッチ箱に入れて医務室に運び込むようなことになるでしょうな」
そう言ったスネイプ先生は、性悪な大きなコウモリを思わせるように進み出てきた。ネビルのピンク色の丸顔が、ますます濃い色になった。
「マルフォイとポッターはどうかね?」
と、スネイプ先生は口元を歪めて笑った。ロックハート先生は名案だと、二人を大広間の真ん中に来るように手招きした。ミラとハーマイオニーも急いで二人がよく見える場所に近寄った。
「大丈夫かしら、ハリー…」と、ハーマイオニーが両手を祈るようにして言った。ハリーの横でロックハート先生が何やら複雑にくねくねしながら杖を取り落とす様子を見たミラは複雑な顔をした。反対にドラコとスネイプ先生はそれを見て嘲るような笑いを浮かべており、スネイプ先生はドラコに屈みこみ、耳元で何か囁いていた。
「ロックハートじゃなくて、マクゴナガル先生だったら----ハリー自身でなんとか乗り切るしかない」