第34章 決闘クラブと蛇
「つまらないな」
ハーマイオニーとなら、一体どんなに楽しかっただろうかとミラは思った。自分より色々な呪文を知っているハーマイオニーなら、面白い決闘ができたのにと、二人の様子を見た。ハリーとドラコは、ドラコは床に膝をついて笑い続けており、ハリーの両足はプロのダンサーかと思わせるようなクイック・ステップを踏んでいた。
「何やってるんだ、あの二人…」
ちょっと面白い光景だなと思ったのも束の間で、ハーマイオニーの方に顔を向けると、ミリセントがハーマイオニーにヘッドロックをかけ、痛みで叫んでいるハーマイオニーの姿が目に飛び込んできた。二人の杖は床に打ち捨てられていて、ミラは杖をミリセントに向けた。
「エンゴージオ・スカルラス(頭よ膨らめ)!」
緑色の光線がハーマイオニーの首を絞めているミリセントの腕に当たると、ミリセントの頭がどんどんと大きく膨れ上がった。頭の重さを支えきれなくなったミリセントは、慌ててハーマイオニーを解放し、重くなっていく頭を支えようとした。
「ロコモルト・モルティス」
呪文はまたしてもミリセントに当たると、ミリセントの両足はピッタリとくっついた。まるで大きくなりすぎたキノコがバランスを取ろうと、必死に揺れているように見えた。ミラはハーマイオニーの杖を拾って駆け寄った。
「大丈夫、ハーマイオニー?」
「ありがとう…まさか魔法じゃなくて、プロレスをかけられるなんて思わなかったわ」
「スリザリンはトロールしかいないのか?」
ミラはミリセントに杖を振って、足元に大きな火花を散らせると、慌てふためいて飛び上がる様子が面白くて薄笑いを浮かべた。
「あのパグ女はどうしたの?」
「ああ、多分そこらへんで杖でも探してるんじゃないかな?」
「武装解除の呪文使えたのね!」
「うん、結構簡単で使いやすい。ハーマイオニーのおかげさ」
ミラとハーマイオニーはあたりを見回すと、緑色がかった煙があたり一面に霧のように漂っていた。辺りは酷い有様で、あちこちで生徒が倒れていた。