第34章 決闘クラブと蛇
ロックハート先生は煌びやかな深紫色の上衣をまとい、その後ろにはいつもの黒装束のスネイプ先生を従えて登場した。
「皆さん、集まって。さぁ、集まって。皆さん、私がよく見えますか?私の声がよく聞こえますか?結構、結構!」
ロックハート先生は『決闘クラブ』の許可をダンブルドア校長からもらい、万が一の場合に備えて、生徒のみんなを鍛え上げるために開いたと説明した。
「ではあ、助手のスネイプ先生をご紹介しましょう」と言ったロックハート先生は、満面の笑みを振り撒いた。
「スネイプ先生がおっしゃるには、決闘についてごく僅かご存知らしい。訓練を始める前にあたり、短い模範演技をするため、勇敢にも手伝って下さるというご了承をいただきました。しかし、お若い皆さんにご心配をおかけしたくありません--私と彼が手合わせした後でも、皆さんの『魔法薬』の先生は、ちゃんと存在します。ご心配なきよう!」
スネイプ先生は不快をあらわにした顔で、ロックハート先生を見ていた。
「どうせなら、相打ちで両方ともいなくなってくれた方がいいと思わないか?」
「一ガリオンの賭けにもならないな」
ミラは死んだ魚のような目でロックハートを見た。
ハリーは後ろでミラとロンがコソコソ話しているのが聞こえたが、スネイプ先生の前で笑っていられるロックハート先生に、ある意味感心していた。何故なら、スネイプ先生がすごく不機嫌なのが見てわかり、自分なら回れ右して、全速力で逃げると考えていた。
ロックハート先生とスネイプ先生は向き合って一礼した。それから、二人は杖を剣のように前へ突き出して構えた。
「ご覧のように、私たちは作法に従って杖を構えています。三つ数えて、最初の術をかけます。もちろん、どちらも相手を殺すつもりはありません」
と、ロックハート先生は観衆に説明してくれた。
「そうは思えないけど」
と、ハリーが歯をむき出しにしているスネイプ先生を見て呟いた。