第33章 不測の事態
「お前…何か企んで…」
「ドラコ、あのさ、私----」
もう何を言えばいいのかわからなかった。スッと目を細めたドラコに、ミラの頭にヤバいと警告が走ったその時だった。バーーーーン、と何かが弾けるような音が聞こえると、水滴があちこちに降り注ぐ音がそこら中に聞こえた。
「あっ!」
ミラは大きな飛沫がドラコに飛んでいくのが見えた。ミラは咄嗟にドラコの肩に手を置いていた手を時、手の平でそれを受け止めた。触れた瞬間、手から腕まで一気に大きく膨れ始めた。
「うわああああ!」
突然ドラコが耳を押さえて叫び出した。ドラコの耳は手では収まりきらないくらい大きく膨れ上がり、痛そうに唸っていた。ミラは顔を青ざめながら、大きくなった耳のせいで、重みで頭が片側に垂れているドラコを見ていた。
「静まれ!静まらんか!」
と、スネイプ先生の怒鳴り声が聞こえた。
「薬を浴びた者は縮み薬をやるからここへきなさい。誰の仕業か判明した時は…」
ドラコは急いで立ち上がると、ミラを置いて急いでスネイプの下へ進み出た。ミラも重たい腕を持ち上げながら、列ができ始めているスネイプ先生の机に向かった。その途中、上衣の前の方が盛り上がったハーマイオニーが、自分の持ち場に戻るのを見つけ、ミラはなんとか上手く行ったのだとホッとした。
ミラがようやくスネイプ先生から縮み薬をもらう番になった時、スネイプ先生は訝しげにミラを睨み付けた。ミラも不快だという顔でスネイプ先生を睨み返した。
「先生、痛いんですけど」
膨れた右腕を見せると、スネイプ先生は縮み薬を渡してくれたが、ミラは席に戻るまで、スネイプ先生からの視線を背中にチクチクと感じていた。
ようやくみんなに解毒剤が行き渡り、色々な膨れが治った時、スネイプ先生はゴイルの大鍋の底から、黒焦げのちぢれた花火の燃えカスをすくあげた。急にみんなが沈黙して、スネイプ先生をジッと見ていた。
ネビルは元々苦手なスネイプ先生が、さらに怒っていることを知り、可哀想なほど大きく震えていた。