第33章 不測の事態
ハリーは自分たち男子より勇敢なんじゃないかと、心強いミラとハーマイオニーを見て力無く微笑んだ。
なにせ、スネイプ船の授業で騒ぎを起こして、それでも無事と言えるのなら、眠れるドラゴンの目を突っついても無事だ、と言うようなものだ。
ミラも授業が始まる前はワクワクしていたが、いざ教室に入ると、不測の事態に備えなければいけないと思うと、三人の緊張感がうつったかのように少し緊張した。
不測の事態に備えて、ミラはハリーとロンの後ろの席に着いた。ハーマイオニーは二人の前に座り、隣の席はネビルが座った。授業が始まろうとした時、固まって話していたスリザリン生が席に次々着いていく中、ミラの空いていた隣の席に、誰かが座った。
「!」
誰だろうと隣を見ると、ミラは目を大きく開けてその人物を見つめた。
「ドラっ……マルフォイ」
咄嗟に名前で呼びそうになり、慌てて苗字呼びに変えると、ミラの声に気が付いたハリーとロンが後ろを振り返った。二人は死人でも見たかのような、驚きと、困惑の表情をした。
「な、なんで…」
早速の不測の事態に、ミラは取り乱した。ドラコはチラッとだけミラを見ると、斜め前にいるハリーとロンを見てニヤリと笑った。
「たまには後ろの席もいいと思ってね。馬鹿面がよく見えるよ」
警戒すべきはスネイプ先生だけではなかった。まさかドラコが自分の隣の席につくとは思わず、心臓が嫌にバクバクと緊張しだした。ドラコ以外ならまだなんとかやり過ごせたかもしれないが、ドラコはハリーを困らせるなら誰よりもずる賢く、これから騒ぎを起こそうものなら、嬉々としてスネイプ先生にハリーを献上するだろう。
ミラは心を落ち着かせ、いつも通り冷静になろうと努めた。材料を取りに行くとき、ミラはこっそりハーマイオニーに「合図に合わせてなんとかする」と伝えた。ハーマイオニーも不安な顔をしていたが、ミラは強気に笑ってみせた。