第33章 不測の事態
十二月の第二週目に、例年通りマクゴナガル先生がクリスマス休暇で、学校に残る生徒の名前を調べに来た。ハリー、ミラ、ロン、ハーマイオニーは名簿に名前を書くと、その名簿にドラコの名前があることに気が付いた。
「アイツがここに残るなんて怪しすぎる」
「でも、聞き出すいいチャンスだ」
このクリスマス休暇をうまく利用すれば、ポリジュース薬を使ってドラコをうまく白状させる絶好の機会だと、ハリーとロンは頷き合った。
「二人とも、ポリジュース薬はまだ半分しかできてないんだけど」
と、出鼻を挫くようにミラは言った。
「あと必要なものは、バイコーン(二角獣)の角と毒ツルヘビの皮よ。今週の魔法薬の授業で取らないといけないわ」
どこか緊張したハーマイオニーが言うと、その緊張はハリーとロンにも伝わった。その重要な二つの物が、スネイプ先生の研究室にしかないことが問題で、ハリーは胃が痛くなる思いだった。
そしてあっという間に木曜日はやってきた。午後のスリザリン生徒の合同授業はいつも通り進行した。授業が始まる前に、四人はお昼時間にしっかりと打ち合わせていた。
「私、前から考えてたんだけど、実行犯は私がやった方がいいと思うの」
そう言ったハーマイオニーに、ハリーやロンは驚いた顔をしたが、ミラはそれ以上に驚いてすぐにハーマイオニーに文句を垂れた。
「スネイプの部屋には私が行くって決まってたじゃん」
「だけどあなた達、今度問題を起こしたら退行処分でしょ。私ならまだ前科がないから、大丈夫だと思うの」
「スネイプの物を盗む時点で大丈夫って言えるのか…?」
ロンは想像したのか、体を大きく震わせた。
「私が合図を出すから、あなた達はひと騒ぎ起こして、ほんの五分くらいスネイプ先生を足止めしててほしいの。もちろん、ミラに残って欲しい理由もあるわ。不測の事態に目を光らせてほしいの」
「不測の事態か…わかった、でももしハーマイオニーに何かあったら私がスネイプの研究室に忍び込む」
「えぇ、お願い」