第32章 ガールズトーク
「お、おい…」
三十秒も経っていないはずなのに、見つめ続けられることに心臓が耐えられないと悲鳴を上げかけた時、二人の間にブンっと振り下ろされた腕で、ミラは軽々とそれを避けた。
「ちょっと!ドラコになんの用よ、グローヴァー!近すぎるわ、距離を取りなさいよ!」
ドラコの同級生のパンジー・パーキンソンが、焦ったように二人の間に割り込んだ。ミラは威嚇してくるパンジーをみえていないと言った感じで無視をして歩きだした。
「行こう、みんな」
ミラの謎の行動に、ハリーとロンは慌ててミラとハーマイオニーの後を追いかけた。ミラは「なりたいのかなぁ?」と、何か考え事をしているような唸り声をあげていて、二人はますます混乱した。
「ミラ、さっきのは何?」
ハリーはミラの隣に並んで尋ねた。反対側にいるハーマイオニーは内心ヒヤヒヤしながら二人の会話に耳を澄ました。
「さっきのって…マルフォイのこと?」
「そうだけど…いつもの君らしくなかったよ」
「そう、かな?ちょっと考え事してて…言い合うのも面倒だなって。でも向こうもビックリしてたし、何も言い返してこなかったからいいんじゃない?」
ヘラッと笑ったミラに、ハリーはますます混乱した。いつも通りのミラに見えるが、何か隠しているような気もした。ロンはハリーの上衣を引っ張ると、二人はミラとハーマイオニーの後ろについて、コソコソ話し合った。
「ミラのやつ、やっぱり頭かどっか打ったに違いないよ。いつも以上におかしいって。マルフォイとあんなに顔近付けられるか?」
ロンは心底嫌な顔をした。ハリーもロンと同じような顔をしながら頷いた。二人がコソコソ話している間、ハーマイオニーもミラに耳打ちした。